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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

5月映画の日~ぼっちゃん~ウィ・アンド・アイ

ゴールデンウィークの中日に有休を当て映画三昧。

映画の日に渋谷で3本のはしご。さすがに3本は体力的に厳しいかと思われたが、それぞれに面白かったせいか、ウトウトすることもなく完走。スケジューリングも我ながらうまくいく。

ちょうど去年のゴールデンウィーク、やはり映画の日だったかと思うが、「ル・アーヴルの靴みがき」と「裏切りのサーカス」を日比谷・有楽町ではしごする予定を立てていたのだが、「ル・アーヴル」が思いのほか混んでいて狙いの回のチケットを取れず、仕方なしに急遽駆け込んだ「ブライズメイズ」もすでに手遅れで途方に暮れる、という体験があったので、二の舞は避けたかった。まさか「ブライズメイズ」にも蹴られるとは思いもよらなかった。

去年のゴールデンウィークは、この後車で接触事故を起こしてしまったので、今にして思えば、なにか不吉な前兆だったのかも、というのは考え過ぎだろうけども、今年は無事に予定していた3本を鑑賞できたことは、それだけで達成感があった、というよりなにか縁起の良いものを感じる。

 

まず、ユーロスペースのモーニングショーで大森立嗣監督「ぼっちゃん」。

秋葉原無差別殺傷事件を題材にしていて、「SRサイタマノラッパー」のトムこと水澤紳吾が主演だというので気になっていた作品。大森立嗣監督作はこれが初鑑賞。

ブサイクで友達彼女なしの派遣労働者梶(≒加藤智大)が、長野で新たに見つけた職場で、それまで培ってきたルサンチマンを徐々に発酵させていく青春ドラマ、といったところか。

事件が有名なためにゴール、つまり事件を起こすというとこに向かっていくのだな、という前提で、梶(≒加藤)の心理がどのように変化していくのか、なにが実行へと踏み出させたのか、というところを期待して観ている自分がいる。

が、この作品はそこを突き詰めているという訳でもない。結局、彼(加藤)の心理なんかわかるわけないんじゃないか、なにが原因かなんて言いきれないんじゃないか、それって映画の役割じゃないんじゃないか、という逡巡が製作サイド監督らにあったかどうかわからないが、梶はルサンチマンを抱えたひねくれた等身大の若者として描かれる。

といって暗鬱な青春ドラマかというと、これまた捻っていて、梶が長野の新しい職場で出会う二人の男田中と岡田は、いわば梶にとっての天使と悪魔みたいな役割で、ルサンチマンを抱えながらも友達を得る希望を田中が象徴し、とことんひねくれて社会を逆恨みする絶望を岡田が象徴する、というファンタジーっぽい側面もある。田中とのシーンはほのぼのとしたコミカルな演出もあり、岡田とのシーンはひりひりとしたバイオレンスな演出、と、この毛色の異なった演出が異質なままごろっと混在しているのが、この作品の魅力というのか不思議な味なとこ。

ちょっと今の段階では、この不思議な味を「好き」とか「面白い」と言えるまでにはなっていない。

「SRサイタマノラッパー」では真面目なんだけどちょっと天然なラッパーを演じていた水澤紳吾が、ここではひねくれた、うざい、性格の悪い青年をいらいらするほどうまく演じている。外見に強烈なアクがない分、いろんな役ができる俳優だと思う。普段全く見ないけど、テレビの連ドラなんかに主役の同僚のサラリーマンとかで出てたら面白いな、見てみたいな、というかぜひしれっと出ていてほしいな、と思う。

あと、音楽が「そうかな?」って思いながら観てたら、エンドクレジット観てやっぱり大友良英だったんでニヤリ。Sachiko Mのサインウェーブがピュンピュン飛んでるのが楽しい。

 

2本目は、ミシェル・ゴンドリー監督「ウィ・アンド・アイ」。イメージフォーラムで。

ミシェル・ゴンドリーはぼちぼち観ているんだけども、割と評価の高い「エターナル・サンシャイン」にしてもそれほどピンと来なくて、ジャック・ブラックが出ていてレンタルビデオ屋が舞台という個人的にはおいしそうな素材の揃ってた「僕らのミライへ逆回転」も、もひとつのれなかった。

けども、これはよい。

ニューヨークはブロンクス、終業式を終え明日からは夏休みという開放的な気分の高校生たちの下校風景を、一台のバスの中だけで切り取った青春群像劇。

英語はわからないけども、高校生たちの生き生きとしたセリフのリズム、恋人、パーティ、音楽、進学、友達など他愛なかったり、でも真剣そのものな話題。まずこの表層のにぎやかさが心地よい。で、とっ散らかってるようでいながら、徐々に友達が下車していくのとクロスフェードして本音や責任が浮かび上がってくる、という作りも上手い。

あのね、テレサという変な噂を立てられて学校休んでた女の子が、金髪のかつらかぶってブスな感じで登場するんだけど、その彼女が終盤へ向けて段々にかわいくなっていく。これが素晴らしい。ミシェル・ゴンドリー、洒落たミュージッククリップ上がりの監督というイメージがずっと強かったけど、こういう風に人物を撮れるのか、って驚く。

ラリー・クラークの描く青春のひりひりさも好きだけども、バカで一所懸命な悪ガキの喜びも切なさも一切合財ひっくるめて温かく描くこういう青春映画もね、やっぱりいい。

惜しむらくは、イメフォの劇場、もっと音が大きかったらなあ、と。

 

さて、3本目はシネパレスでシュワルツェネッガー久々の主演作「ラストスタンド」なんだけど、今日はもうくたびれてしまったので、また次の機会に書けたら書くことにする。