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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

リメイク版「死霊のはらわた」が地味に扱われ過ぎてる気がするので、擁護してみたい気も…

先週シネマイクスピアリにリメイク版「死霊のはらわた」をようやく観に行った。

その前の週までは「絶叫大音量上映」を実施していたらしいのだが、これは「爆音映画祭」みたいなものだろうか、と打ったところで「爆音映画祭」に行ったこともないのに「みたいなものだろうか」とは言い過ぎだ。

それには、まあ、間に合わなかった。

公開直前までかなり期待を持っていたのだけども、公開後twitterのタイムラインを眺めてても、これといって「よかった」「面白かった」という声が聞こえてこないし、そもそも「観に行った」というのもあまり見かけない。

なんだか不安が増す。

サム・ライミ監督のオリジナル「死霊のはらわた」は、スプラッターホラーも度が過ぎるとコメディになるというスラップスティックな突き抜け感が楽しい作品で、80年代を代表するホラー映画の1本として必ずその名が挙げられる。つまりマスターピースというわけである。

「1」よりも、サム・ライミ自らブラッシュアップした「死霊のはらわた2」の方がよりポップで、バカバカしくて好き。

ブルース・キャンベルの名は、多分、海外の俳優ではかなり早い時期に覚えた名前のひとつだと思う。

 

サム・ライミもプロデューサーに名を連ねてのリメイク作というので期待は高かったのだけども。だけども…

ウルグアイの新星フェデ・アルバレスというよく知らない監督。

なんだか格闘家のような字面である。

 

「面白くなかった」という声を確かに耳にもする。

実際、自分の目で確かめて、どうも辛気臭いな、魅力に乏しいな、とも思った。

だけれども、あんまり地味に扱われ過ぎてる気がするので、あえてリメイク版「死霊のはらわた」を擁護してみたい気も起きてくる。

 

オリジナルの持つ陽性の突き抜け感のイメージがあまりに強いので、それにオリジナルの熱狂的なファンも多くいるので、正直監督は相当なプレッシャーを抱えていたことだろう。

まあ、同じことをやっても仕方ない。

スラップスティックな演出で笑いを誘ったり、過剰なゴア描写や血糊の量で圧倒したり、というのは避けるべきだろう。と考えたに違いない。

いいや、でもこの作品のリメイクで求められるのは、なんといっても手加減無用の容赦ないゴア描写だろう。とも考えたに違いない。

 

死霊のはらわた」という枠をはずせば、刃物が肉体に喰い込む痛々しい描写や鈍器で頭を陥没するまで殴る描写など、なかなかにフェティッシュな面もあったりする。

とりわけ、ラスト、あ、ここからネタバレになるかもしれないが構わず進む、ラスト、車の下敷きになった手首をヒロインが自ら引きちぎって脱出する荒っぽいゴア描写は力強い。

それと、死霊をチェーンソーで頭から真っ二つにするシーンはこの作品の見せ場として充分な見応えがある。血の雨降りしきる中、絵画のような平面的な画もなかなかいい。

真っ二つになった死霊のウインク。これ、「アナコンダ」の蛇にのまれて吐き戻されたジョン・ヴォイトのウインクに通じる茶目っ気。

このウインク見て、「ああ、相当なプレッシャーの中作ったんだろうな。でも頑張ったよな。「死霊のはらわた」って冠さなければ、それなりに気合の入った山小屋スプラッターホラーとしてよくできてたんじゃないか」なんていうような気にもなった。

 

とにかく「死霊のはらわた」のリメイクにしてはユーモアが不足。

ジャンキーの妹の薬物依存を断つために山小屋に籠る、などというストーリーが必要だったろうか?しかもそこに兄貴の、妹や母親に対する罪悪感、などという家族のドラマが必要だったろうか?

そんな辛気臭いムードをまき散らす兄貴をこそ、真っ先に死霊にしてしまって狂わせてしまえば、「スプラッターホラーに辛気臭い話など不要!」というようなメタ的な突き抜けたホラーになれたんじゃないかな、という気もしている。

 

と、最後は結局ケチつけた風になってしまい、なかなか擁護するというのも難しいな、と。

 

※予告はグロ注意です


「死霊のはらわた」(2013)特報 - YouTube