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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

学園天国?な映画①〜「バス男」改め「ナポレオン・ダイナマイト」

今月は青春映画月間にしようと決めながら、もう今月も終わろうとしている。
そこでこれまで観た、観返した青春映画3本を振り返る。その1。

バス男」(2004・アメリカ)
10/2にようやく原題の「ナポレオン・ダイナマイト」で再発される(しかもBlu-rayで)ことで、妙な先入観もなくなってまた新たなファンができるかもしれない青春学園ものの佳作。
散々ひどい邦題だと叩かれていたけども、この度の再発では20世紀フォックスはそれを踏まえて公式謝罪を宣伝に利用している。なるほどね、うまいことやったな。

アメリカの学園ものというと、殺伐とした校内カーストのひずみからストーリーが紡がれるか(「ウェルカム・ドールハウス」「ハード・キャンディ」「ブレックファスト・クラブ」がパッと思い浮かぶ)、あとはひたすら低俗なギャグで押し通すか(「アメリカン・パイ」シリーズね)、大雑把に分けるとこの二つなんだけども、「バス男」(このタイトルで今回は通そう。せめてもの餞別に)はこれらには収まらない独特なユーモアを持ち合わせている。
一風変わった(名前も変わった)ナードな見た目な高校生ナポレオンが、これまた変てこな家族や友達と過ごす田舎での生活を、これといったストーリーも、盛り上がりもなく描いている。
いや、ストーリーはないといっても、一応友達のペドロが生徒会長に立候補したのを手伝う、という筋が後半出てくるが、ドラマを盛り立てることはない。
いや、盛り上がらないかというと、立候補者の応援パフォーマンスでナポレオンがジャミロクワイの曲に合わせてダンスするのはそれなりに盛り上がる。
でも、張られていた伏線がラストに回収されて、ダンスパフォーマンスで胸がすく、というわけではない。ハリウッド的ストーリーはここには全くない。
そこが魅力。田舎の変わった高校生の日常を、下品にならず、嫌味にもならず、まるで水彩画のように淡いユーモアで描く。
オープニングタイトルも、ナポレオンの着るTシャツも洒落てるんだけども、かと思うとナポレオンがバイトする鶏小屋の親父たちの"いい顔"がピリッと効いてくる。デビーの野暮ったさも絶妙。おしゃれとダサさの微妙な線の狙い方がほんとうまい。見終わった後に、いろんなディテールを「ここが好き」と話したくなる。
リコおじさんがキッチンで立ってステーキを食べてるのいいよね、とか。

ペドロは生徒会長の座を勝ち取るんだけども、それだけがこの作品の幸福感を醸成してるわけじゃなくて、そのことで他に誰も傷つかないし、誰もたいした恩恵も受けない(ダンスを踊って喝采を得たナポレオンにしても、そのことでその後の生活が変わったようには見えない)、ただ変わらずのほほんとしてる。この「バス男」の世界全体を包む肯定感が心地よい。