船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

1920年代本まとめ買い〜「はじまりはジャズ・エイジ」〜「優雅な生活が最高の復讐である」

スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」を村上春樹訳で読み、とても面白かったのは、原作がそうだからか、原作のよさを訳者が倍増させたからなのか、よくわからないが、とにかくいつともなく始まった1920年代への興味は、今スコット・フィッツジェラルドという寄港地にて小休止。
Amazonで関連作を諸々買い込む。
潮文庫の「フィッツジェラルド短編集」、角川文庫の「夜はやさし」上下巻。その「夜はやさし」の主人公のモデルと言われるジェラルド&セーラ・マーフィーを描いた「優雅な生活が最高の復讐である」。「1920年代、アメリカ」についての本を検索すると名前が挙がってくる常盤新平の「はじまりはジャズ・エイジ」。それと最後に、すでに1、2度ざっくり読んだけども手元に置いておきたい一冊として、F.L.アレンの「オンリー・イエスタデイ」。
あまりテーマを絞ってまとめ買いというようなことをしないのだけども、これはなかなか我ながら粒選りの本を買ったな、と秋の夜長にほくそ笑むなぞ。

すでに30〜40年前の文章ということで、どこか古めかしさは否めない。
1920年代に興味があるといっても、人それぞれのようで、ここで主に取り上げられてるジャーナリズムやマフィア、ニューヨークについては正直それほど面白みを感じない。
これは文章の面白さ云々でなく、単に興味の的がずれてるとこからくるんだと思う。
フィッツジェラルドと対比的に取り上げられてたマルカム・カウリーについてはもうちょっと知りたい。
マフィアについては、血塗られた、非情の男たちというイメージが先行しがちだけども、それは映画などによって後世に作り上げられた部分が多々あるようで、イタリア系移民(=マイノリティ)がアメリカ社会でのし上がって行くために、禁酒法を利用して裏ビジネスを始めたのだ、と偏見に寄らず、かといって同情するでもない描き方がなんだか新鮮に感じる。

カルヴィン・トムキンズ「優雅な生活が最高の復讐である」を次に。
これは面白い。
スコット・フィッツジェラルドが憧れたという、20年代パリで芸術界隈の数々の名士たちが慕ったジェラルド&セーラ・マーフィーを描いたノンフィクション。
ピカソ、ヘミングウェイ、フェルナン・レジェ、コール・ポーターなど華麗な交友関係を持ちながらも、奢ることなく、粋に自分流の生活=芸術を生きたジェラルド・マーフィー。
決して人生を謳歌してる風でもない。
芸術を信仰してるわけでもない。
ただ、「こうでなくちゃいけない」というもの・ことに対して、声高にならず、紳士然として「ノー」と言う。
どことなくマルセル・デュシャンを彷彿とさせる。こういうタイプの人に弱いのだ。
タイトルの「優雅な生活が最高の復讐である」というのもよい。座右の銘にしたいくらい。
ところでここに描かれるスコット・フィッツジェラルドは、幼稚で、傲慢で、ほんと関わりたくない人間なのだが、それが微笑ましい。
この本は写真も多く、ああ、たまに読み返したいな、と思う一冊ではある。が、そういう本をうまく他人に勧める言葉を知らない。ので、上手にレビューしているエントリを貼っておきます。こちらの方が10倍も20倍も愛のある紹介をしています。