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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

学園天国?な映画⑥~「ヘザース ベロニカの熱い日」黒い学園映画の古典

「ヘザース ベロニカの熱い日」(1989・アメリカ)

 

学園映画が、いい大人の「昔は楽しかったよな」的なノスタルジーだけでもなく、エロでバカなコメディだけでもない、現実社会を反映したブラックで、エッジのあるジャンルであることを証明した作品じゃないだろうか。

トッド・ソロンズの「ウェルカム・ドールハウス」やアレクサンダー・ペインの「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」なんかは、確実に「ヘザース」の延長にある。

学園映画からユニークな才能が生まれる、というひとつの形を監督のマイケル・レーマンは作ったともいえる。

まあ、自分が言うでもなく、方々で評価が高い「ヘザース」は、もはや黒い学園映画の古典の風格。

 


Heathers trailer - YouTube

 

 

高校の勝ち組女子グループ「ヘザース」(ヘザーという名前の女子が3人でつるんでるのでこのグループ名)に、パシリとしてこき使われるベロニカが本作の主人公。「ヘザース」にコバンザメのようにひっついてながらも、ベロニカは彼女たちが大嫌い。

このベロニカを、アイドルとして輝いていた当時のウィノナ・ライダーが演じる。

 

 

突然脱線するが、ウィノナ・ライダーは「ビートルジュース」のゴスっ娘役が、やっぱり素晴らしい。f:id:kamonpoi:20131205123051j:plain

どうしてもあのイメージが付いて回ってしまう。

最近の作品は全然観てないのだけども、こないだ劇場公開していた「THE ICEMAN 氷の処刑人」で、マイケル・シャノン演じる実在の殺し屋の妻役で出ていて、「懐かしい」と反射的に思ってしまった。

 

 

あらすじの続き。

そんな折、ベロニカは転校生のJD(クリスチャン・スレーター)と知り合う。食堂で絡んできたジョックスに空砲を撃つような問題児。

ベロニカはJDの一匹狼的なところに惹かれていくのだが、彼は学校内格差、ひいてはそれを生んだこの社会を呪っていて、すべてを破壊してしまいたいという衝動を持った危ない奴だった。

で、ベロニカは…

 

 

とこう書くと、まさに今観直されてもよさそうな作品。

というか、非常に先見性があったのかな、とも思う。

 

 

ベロニカは「ヘザース」を嫌いながらも、高校(社会)での処世のために、幼馴染との付き合いを断って「ヘザース」に寄りかかっている、どこか計算高い嫌な女なのである。

ベロニカは勿論それを自覚していて、自分を変えたいと思っている。

そのきっかけを与えてくれるのがJDだと見初めたわけだけども、彼がとんでもなく危ない奴だった、と。

ベロニカも、こんな高校吹き飛んでしまえ、くらいはしょっちゅう思ってたはずだが、それを躊躇なく行動に移せるほどの覚悟があったわけではない。

「ヘザース」という権力にすり寄ったり、それをぶち壊すテロの誘惑に駆られたり、いや、やっぱり幼馴染との平穏な生活がいいのかもと思ったり、こういうベロニカの揺らぎ、または悩みって、まさしくティーンのものじゃない?

ここが魅力。

 

 

他にも、「ヘザース」の女王やアメフトのスター選手が死んでしまうと、彼女彼らの生前の嫌な性格は見事に払拭され、「人気者だった」「好かれていた」というよい面だけがクローズアップされ、美化されてしまう、というのがブラック。

それを当て込んで、デブの女子が「私も死んだら、よく思われるかも」と自殺しようとする、というのもなかなかきついジョーク。

 

 

で、最後、新たな秩序を私が作る、とでもいうようなベロニカの後ろ姿に、なんだか西部劇みたいな匂いがするのもおかしい。