船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「ゼロ・グラビティ」をTCX、ドルビーアトモスで観てきた!

2013年もあとわずか、この年の瀬に今年最後の、かつ今年一番の話題作「ゼロ・グラビティ」が公開。これは劇場で観ておかないと、ということで、近場にリニューアルオープンしたTOHOシネマズららぼーと船橋にて、日本初の「ドルビーアトモス」といういかめしい音響、「TCX」という独自方式の大画面で鑑賞してきた。

TOHOシネマズ ららぽーと船橋:施設紹介 || TOHOシネマズ

 

 

正直、「ドルビーアトモス」の凄さを十分体感することができなかったのがな、聴覚がおかしかったんだろうか?無音の世界である宇宙を舞台にしたこの作品では、あまりこの方式が活かされなかったのか?どちらかよくわからない。

通信のちりちりしたノイズや、時折音楽がスリルを盛り上げた後の静寂といったメリハリの効いた音の演出は楽しい。

 

 

すでに多くの人がこの作品の映像の素晴らしさを讃えているが、まあ、いくら讃えても足りないだろうと思われるほどに驚嘆、そして圧巻。

「どうやって撮ってるんだろう?」なんてこの映像の前ではもはや愚問でしかない。

映画というより映像アトラクション。

鑑賞というより体験。

といった方が的確。

 

 

事前にアルフォンソ・キュアロンの「トゥモロー・ワールド」を観て、ディテールまで神経が行き届いた暗鬱な未来世界像の造形、観客をその世界へ引き込む長回し=ロングテイクに唸らされ、「ゼロ・グラビティ」への期待を高めていたけども、まあ、冒頭からなんという長回し!12分半にも及ぶというから驚き!

宇宙空間に青く輝く地球、漆黒の彼方からスペースシャトルがずううっと手前に近づいてきて、船外作業をしているライアン(サンドラ・ブロック)、その周りを宇宙遊泳の世界記録更新をするなどと軽口を叩きながら旋回しているコワルスキー(ジョージ・クルーニー)の姿がわかる。

ドキュメンタリーみたいに美しい宇宙の映像から一気にドラマの世界へ。

 

 

また、カメラはスペースデブリの襲撃を受け、船体から弾き飛ばされ宇宙空間へ放り出されるライアンを追い、そのヘルメットの中へ幽霊のように侵入し、客観から主観へ、彼女の感じる恐怖、孤独、息苦しさを否応にも共有させる。

 

 

映画は地上側の状況を一切描かず、故に救出のサスペンスではなく、宇宙空間に孤立無援で取り残されたライアンのサバイバルを基調にしたサスペンスとして展開する。

また、彼女は幼い娘を不慮の事故で亡くしたという心の傷を抱えていて、彼女の心はまるで無重力状態でフワフワと漂っている。生還するんだという意志が感じられない。それがある”奇想天外”な事柄をきっかけに「再生」へと向かう。

これがこの作品に、単なるビジュアルだけの作品ではなく、ドラマとしての奥行きを与えている。

ライアンが重力=gravityを取り戻す、ということがダブルミーニングになっているので、ほんとは邦題の「ゼロ・グラビティ」より原題の「gravity」の方が適切だろうな。

 

 

でもね、ドラマはより多くの観客に感情移入してもらうための脚本上の技巧にすぎない。

この作品の面白さは、なんといっても「宇宙空間にたった二人(もしくは一人)」という実験的なアイデア、いやこう言い換えよう、贅沢なチャレンジそのものにある。

それをテーマと合致した見事なVFX技術、本物と見紛うほどの衛星やシャトルの内部の美術(本物見たことないけど…)、客観主観を軽々越境するカメラワーク、息詰まる演技力、これらを束ね表現したキュアロンの演出力、とまあ、まるで借りてきたような映画感想を書いてしまったが、劇場で観るべし。

 

ロボット工学やLEDを映画撮影に取り入れたアルフォンソ・キュアロン監督に「ゼロ・グラビティ」についてインタビュー - GIGAZINE

 

映画『ゼロ・グラビティ』オフィシャルサイト

 


映画『ゼロ・グラビティ』予告5【HD】 2013年12月13日公開 - YouTube