船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

たまには映画はしごDAY〜「ビフォア・ミッドナイト」「ザ・イースト」「オンリー・ゴッド」

観たい映画がいくつもあっても、諸々事情があって全てを劇場で観ることは叶わない。
諸々の事情を後回しにしても映画を優先させる、というほどの熱意も持ち合わせてない。
それでもたまには一日映画のはしごをするなんていう贅沢をしてみたくはなる。


で、先日有休を利用して3本のはしごをしてきた。
オールナイトほどきつくはないにしても、さすがに頭が痺れるような感覚。
3本でも何を観るかは事前にかなり迷い、上映時間や劇場の場所も考慮し、結局「ビフォア・ミッドナイト」、「ザ・イースト」、「オンリー・ゴッド」に落ち着く。
三者三様、なかなか良いチョイスだったと鑑賞後は満足。
ちなみに選考に漏れてしまったとこでは、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「なんちゃって家族」、「メイジーの瞳」といったところ。


観た順に、まず、「ビフォア・ミッドナイト」。
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リチャード・リンクレイター監督のこのシリーズ、前2作(「ビフォア・サンライズ」「ビフォア・サンセット」)はだいぶ前にDVDで観てはいたけども、結構忘れていたので新鮮な感じで鑑賞。
オープニング、息子を送り出した後のジェシー(イーサン・ホーク)の背中を追って空港を出るカメラにグッと来る。
最初にこういう掴まれ方をすると、もうあとはだいたい無抵抗で、するする入ってくる。
面白かった。


9年振りの再会を果たした前作からさらに9年後の設定。ジェシーセリーヌ(ジュリー・デルピー)は結婚して、双子の娘を設けていて、今は知り合いに招かれギリシャでの休暇を満喫している。
前2作同様この2人の会話を中心に映画は進むのだけども、40を越えた夫婦の会話は、子供、仕事、家族、死など時の流れを感じさせる。ちょうど劇中の彼らと同世代ということもあり、なんだか親近感すら覚える。


3世代のカップルたちによる食事シーンの、一番若いカップルたちが上の世代に向ける眼差しとか、ジェシーセリーヌが甘い夜を過ごすはずだったホテルで、一本の電話を境に大喧嘩に発展するくだりとか、とにかく話の内容云々でなく、彼らを目の前にしてるだけで多幸感に包まれる。
ラストのちょっと幼稚な仲直りも含めてこの作品好き。


まさかジュリー・デルピーがトップレスになるとは思わなかったけども、弛緩した体型にもエロスを感じるようになるくらい、こっちも年を取ったんだなと感慨も。


「ザ・イースト」。環境テロ団体とそこへ潜入する捜査官を描いた社会派サスペンス。
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前評判も高く、初めて名を聞く監督、主演女優だったけども期待して観る。
でも正直もひとつ訴えてこない。
個人的には、「アメリカン・ハッスル」にも感じたのと同じモヤモヤ感が胸に募る。


前回のエントリでも似たようなこと書いたけども、ジャンル映画の中で人間ドラマを描くように見せて、実はその逆で人間ドラマをジャンル映画の枠組みを借りて見せている。
だから潜入捜査というハラハラするようなエンタメ的仕掛けなのに、全然そっちの欲求を満たしてくれない。
潜入捜査官の成長にスポットが当てられてる。


いや、これは恐らくすれ違いなのである。
勝手に潜入捜査のハラハラを期待した僕が悪いんだろう。
真面目に丁寧に演出されてるのは伝わってくるし、タイムリーなテーマを扱いながら、社会問題だけが取り上げられるだけの作品になってないとこには好感を持てるんだけども、それだけになんか残念。
合わなかったのかな…


ラスト、「オンリー・ゴッド」。
「ドライブ」のレフン&ゴズリングコンビ再び。
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「やられたらやり返す」、ただそれだけのシンプルな復讐譚を、まあ、存分にもったいぶったレフン美学でもって詩情(私情)豊かに描く。
趣味が合わなければ退屈この上ないんだろうけど、変態感度の高い向きには恐らくたまらないシーンがいくつか見つかる、まあ、エッジのある作品。


ゴズリングよりも、彼の敵役である警察のおっさん(ヴィタヤ・パンスリンガム)がほとんどアウトロー同然の傍若無人ぶりで活躍。
彼が刀を振り下ろしたり、歩いたり、走ったり、拷問したり、カラオケで熱唱したり、といちいち佇まいが様になる。
彼のイメージビデオみたいな趣すらある。


常に不穏な低音が鳴り響き、赤や青の原色のライトが彩り、どうしてもデイヴィッド・リンチを想起する。
でもリンチにはノワールものへの彼なりの愛情が垣間見えるけども(「ブルー・ベルベット」「ロスト・ハイウェイ」とか)、レフンの本作はバイオレンスを様々なバリエーションのイメージで描くというとこに執着があって、ストーリーはほんとどうでもいいようにみえる。
まあでも、なかなか面白かった。これは劇場で、それも音響のよい劇場で観た方がよい作品。
TOHOシネマズ錦糸町はなかなか音響がよかったので満足。


以上。