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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「エヴァの告白」を観た~無自覚なファム・ファタール

都内では先週末に終わってしまったジェームズ・グレイ監督「エヴァの告白」を、最終日にTOHOシネマズ シャンテへ観に行った。

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ポーランドから妹といっしょにニューヨークへやってきたエヴァ(マリオン・コティヤール)。妹は入国審査で結核の疑いがあるということで隔離病棟へ、エヴァ自身は強制送還されることになる。すんでのとこで興行師のブルーノ(ホアキン・フェニックス)に拾われ、エヴァは踊り子として彼の劇団で働くことになる。妹を引き取ってアメリカで新生活を始めたいエヴァは大金が必要となり、ブルーノの手引きで売春も始める。

そんな折、ブルーノの天敵でマジシャンのオーランド(ジェレミー・レナー)がエヴァに一目惚れしてしまう。エヴァに惹かれ始めていたブルーノはオーランドをこれまで以上に目の敵にする。 

やがてこの三角関係がそれぞれの人生を変えていく…

といった話。



原題は「THE IMMIGRANT」で、まんま「移民」。

移民のヒロイン、エヴァが新天地で様々な苦難を乗り越えていく感動のドラマ、のような売りであるけども、僕にはこれは、無自覚なファム・ファタールであるエヴァが、2人の男の人生を狂わせる話のように見えた。



妹は、結核を持ち込まれては困るとエリス島の隔離病棟へ入れられ、入国が許可されないが、むしろなんとか入国審査をすり抜けたエヴァの方が、2人の男を蝕むウイルスみたいな女であった、という皮肉すら感じさせる。



1921年のニューヨークが舞台になっている。ブルーノの劇団に所属する女たちは、いわば流行りのフラッパー達だろう。

劇場を追い出されたブルーノ一座が公園で売春家業を始めるのだが、そこでの女たちの売り文句が、「どこそこの由緒正しき名家から家出してきた令嬢の○○」といった感じで、どう考えても嘘っぱちなんだけども、それでも怪しげな男がフラフラ客として集まってきてて、実際そういう女たちがニューヨークには溢れてたのかもしれない。

華麗なるギャツビー」の裏側を垣間見るよう。



寒々しい戸外、セピア調の室内といった照明が美しい。

オーランドーがエヴァを連れて逃げる算段を彼女に話す室内のシーンが、それまでの照明の雰囲気と変わって、ほんわかと幸せを予感させるような優しい感じになるところにハッとする。

で、実はその直後に悲劇が待っていて、なんともいやらしい演出をするもんだ、と唸る。



ラスト、エヴァとブルーノの運命をワンカットで描くとこも、あざといけども、あんまりに決まりすぎてて、やっぱり唸る。

海にボートを浮かべた映画は美しい、という法則があるんじゃなかろうか?と。

ジェームズ・グレイ、地味だけども力強い。

『エヴァの告白』 本予告 - YouTube