船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

自宅でジャック・タチ映画祭〜タチのしなやかさと観察力に驚く

シアターイメージフォーラムで5/9まで開催されていた「ジャック・タチ映画祭」が好評だったようで、6月に再上映されるのだという。

今回足を運べなかったわけだけども、6月にはできれば「プレイタイム」と「トラフィック」を観に行きたい。

ジャック・タチ映画祭

 

 

渋谷まで行くことができなかったけども、幸いうちには「ジャック・タチの世界DVD-BOX」がある。

 

ジャック・タチの世界 DVD-BOX

ジャック・タチの世界 DVD-BOX

 

 

 

これ今やamazonでは相当な高値が付いている。

このBOX収録作品で、ささやかに自宅で「ジャック・タチ映画祭」気分を味わうことにしてみた。



収録作は「新のんき大将(カラー復刻版)」「ぼくの伯父さん」「プレイタイム」「パラード」の4本に、それぞれのディスクに特典という形で、「左側に気をつけろ」「郵便配達の学校」「ぼくの伯父さんの授業」の短編が入っている。



「ぼくの伯父さん」や「プレイタイム」がタチ作品では恐らく有名なんだろうけど、あらためて観ると現代社会(効率主義、機械化など)をかなり辛辣に槍玉に挙げてて、ちょっと嫌味に感じてしまう。

とはいっても、当時フランス映画史上最大規模の製作費をかけたという「プレイタイム」は、セットや登場人物たちの動きなど観ているだけで圧巻。

いや、圧巻を感じさせないユーモアを隅々にまで行き渡らせてることにこそ驚くべきか。

とにかくテレビ画面ではとてもじゃないが追いきれない事柄が、一つのカットにあまりに多く起きすぎている!

これはぜひスクリーンで観たい。

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(このカットは有名)

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(ビルや車の撮り方もいちいち決まりすぎてる!)

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(高級ナイトクラブが場末のバーへと変貌していく驚き!)



今回面白く感じたのは「パラード」。

フェリーニにも「道化師」だったか、サーカスの一座を追った作品があったのを思い出す。

ドキュメンタリーとフィクションを軽々と越境したような構成。

タチ自身が原点であるパントマイム芸を実にしなやかに演じてみせる。

このしなやかさが全編を通じて感じられる。



ほんとにジャック・タチの一挙手一投足が美しくて、彼の動き=アクションはジャッキー・チェンにも通じるなあ、なんて思いながら観ていた。

そんなタチが「ぼくの伯父さん」のユロ氏のキャラクターを演じながら、パントマイム芸をレクチャーする短編「ぼくの伯父さんの授業」も興味深い。

ここでユロ氏=タチが強調するのは"観察力"である。

飄々とした風貌でいながら、より深く観る人であったジャック・タチの鋭い眼光。

やっぱり恐ろしい映画作家であり、芸人である。



たまたまうちに、約20年前「新のんき大将」がカラーで復刻された時に行われたジャック・タチ映画祭に合わせた、「エスクァイア」のジャック・タチ特集号があったのでパラパラ読んでみる。

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生涯6本の監督作しか残さなかったというが、興行成績が伴わず製作費に困窮したりした姿が垣間見える。

「プレイタイム」の失敗にトリュフォーが気を遣って電話掛けたり、自作の「家庭」にユロ氏に似たキャラを出演させたりといったトリビア的エピソードが楽しい。