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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「ここは退屈迎えに来て」を読んだ~郊外本の充実を図りたい…

前々から読もうと思ってたけど文庫化のタイミングでようやく読む。

山内マリコ「ここは退屈迎えに来て」(幻冬舎文庫

 

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

 

 

 

 

これは、僕好みの郊外小説。

郊外、というよりロードサイドといった方がしっくりくるかな。

 

 

といっても都築響一の「ロードサイド・ジャパン」のような珍景・奇景は出てこない。

いわゆる「ファスト風土」(三浦展)と呼ばれる均一化された地方の国道沿いを舞台としている。

TSUTAYA、ブックオフ、ガスト、しまむら、ユニクロ、そしてイオンなどなど。

 

 

ここに収められてる8編の短編はどれも、こじらせ文系女子が都会(東京や大阪)に憧れながらも、そこで何者になるでもなく地元に帰ってきて鬱屈してる、といったような話。

 

 

夢見る頃を過ぎてそろそろ現実と折り合いつけていかなくちゃいけない、といった年頃を描いているところに、どことなくフィッツジェラルドに似た雰囲気を感じる。

暗くなり過ぎず、でも何か輝かしいものが失われていく、といった切なさを感じさせるところも。

 

 

全編を通じて登場する唯一の人物椎名は、かつて高校時代にイケてる男子として輝かしい時を過ごしたものの、今では地元でなんの悩みもなく、それゆえくすんだ、退屈な男になってしまっている。

 

 

椎名は「ファスト風土」と同様に地方の象徴的キャラクターとして描かれているけども、決してネガティブな存在ではなく、(主人公の女子から見れば)退屈な地方都市において、たいして不満もなくそこでの生活に馴染んでいるある種幸福な存在として描かれている。

 

 

こういうキャラクターが犯罪など起こさずにそこそこ幸福に暮らしていく、といった話も読んでみたい。

 

 

あと個人的にこれを機に、また郊外に関する社会学書や小説、写真集などを読みたい、というか集めたい気がむらむらと…

それ関係はまだまだ貧弱なもので…(こんな感じ↓)

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