船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「her 世界でひとつの彼女」を観た!~ノスタルジーを感じさせる近未来、OSとのラブストーリー

これももう1週間前くらいに観たんだけども、怠けて感想を後回しにしていた。

@ヒューマントラストシネマ有楽町。

映画『her/世界でひとつの彼女』大ヒット上映中!

 

 

スパイク・ジョーンズは結構好きな監督。

マルコヴィッチの穴」や「アダプテーション」の印象と、ミュージックビデオ出身ということで、独特なストーリーを個性的な映像で綴るといったイメージが世間的に流布しているように思われるが、意外なほどオーソドックスに映画を撮れる監督、というのが僕の認識。

マルコヴィッチの穴」や「アダプテーション」のへんてこさは脚本のチャーリー・カウフマンに依るところが大きい。

で、本作「her」ではスパイク・ジョーンズ自らが脚本を書き、これでアカデミーのオリジナル脚本賞を受賞している。

 

 

離婚の痛手からいまだに立ち直れないセオドアは、ある日人工知能を搭載したOSを購入しインストールする。

相談に乗ってくれたり、励ましてくれたり、時には人間らしい弱さを見せたりするサマンサと名乗るそのOSに、セオドアは次第に恋心を抱くようになる。

といったSFチックなラブストーリー。

でもSF的な要素は背景にあるだけで、ラブストーリーがメインになっている。


映画『her/世界でひとつの彼女』予告編 - YouTube

 

 

出会い、惹かれあい、恋に落ち、幸福な時を過ごし、倦怠期が訪れ、懐疑が根ざし、別れる、といった一連の恋愛の過程を、OS相手ながらリアリティたっぷりに違和感なく描く。

セオドア演じるホアキン・フェニックスの自然体な演技と、サマンサの声をアテレコしたスカーレット・ヨハンソンの生々しい情感たっぷりなハスキーボイスとの功績は大きい。

でも、ホアキン・フェニックスのじゃがいもみたいな顔でラブストーリーってちょっときついよね、という声もありそうな気がする。

 

 

ハードなSFファンではないので、ストーリーにおけるSF的設定の穴はほとんど気にならず、まあ、確かにPCに入れたOSがモバイルにも移せて持ち出せるとかどういう仕組みなのかよくわからなかったけど。

あと不特定多数の人とOSを共有するというのもよくわからない。

それでも、本作の瑕疵とはなってないと思う。

 

 

むしろSFっぽさをなるべく払拭しようというような暖色系の色使いや生音主体の音楽で、ノスタルジーを感じさせる近未来というビジュアルを作っているのが面白い。

 

 

ただ残念だったのは、OSとの恋愛になるので、どうしてもコミュニケーションに言葉が必要となること。

とにかく始終セオドアとサマンサは会話をしている。

それがどうも時には耳障りにもなってくる。

セオドアと友人のエイミー(エイミー・アダムス)とが2人ソファに並んで座っている画の方が、ずっと雄弁だったり、映画として様になってしまう。

姿のないサマンサの限界を感じてしまうようなことも。

 

 

それにしてもスパイク・ジョーンズは、脚本を書いても割とこうオーソドックスに仕上げられるんだな、と。

自身の脚本による新作を期待したい。