船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「Zアイランド」を観てきたけども、ゾンビ映画としてどうだったか?みたいな感想

うちの子どもが観たい観たい言うので、品川ヒロシ監督「Zアイランド」を親子で鑑賞。

哀川翔芸能生活30周年記念作品と、開巻早々血の気のある赤い文字で出てくるが、哀川翔作品というのではなくゾンビ映画としてどうだったのか、それとホラーコメディ作品としてどうだったのか、そういったことをつらつら書いてみます。

 

その前に物語はというと、かつて対立する竹下組との抗争でほとんどの子分を死なせ、自身も大怪我を負ったうえ破門された宗形(哀川翔)が、出所してきた元子分武史(鶴見辰吾)の家出した娘を追って武史らと銭荷島へ向かう。一方で宗形を襲撃した反町(木村祐一)ら竹下組の面々も、ヤクを持ち逃げしたヤクザ吉田(宮川大輔)を追って銭荷島へと向かっていた。

ところが当の銭荷島では吉田が独自に精製したヤクで島民が次々にゾンビ化し、パニック状態になっていた。

さて、ゾンビたちの襲撃をかいくぐり、無事に宗形らは島を脱出できるのか?

といった感じ。

www.z-island.jp

 

ゾンビ映画の面白さには大きく2つあると思っていて、まずはビジュアル面におけるゴアな人体損壊描写、もう1つがストーリー面における生存者たちの確執。

 

 

前者については「Zアイランド」はなかなか見応えのある仕上がりになっている。

首ちょんぱや腕もげがあれば、ゾンビの脳天に刀が刺さったり、上半身だけのゾンビがバスの下から這いずってきたり、指や耳が噛み千切られるところもしっかり押さえている。

吉本の芸人や(よくわからないけど)人気のラッパーらが出演してることからこの作品を観にくる人も多いとは思うけど、あまりホラー耐性がないと「結構グロいな」と引いてしまうのではないかと思うくらいしっかりゴアな人体損壊描写が観られる。

ここまで手を抜かずに描いてみせたのはなかなか気合が入っているなと思う。

特殊効果を監修した西村善廣の仕事ぶりが素晴らしい。

これは彼が監督した「東京残酷警察」や「ヘルドライバー」を観なければなるまい、と。

強いて難を言えば、狙いなのかもしれないが、人体損壊方法がストレートすぎること。

例えば「ゾンビ」でいえばヘリコプターのプロペラがゾンビの首を刎ねるといったような、そういう趣向を凝らした描写が1つでもあれば、ポイントがグッと上がったかな。

あ、でもサム・ライミへのオマージュを感じる胴体風穴描写はよかった。

 

 

さて、もう1つの面白さを構成する要素、生存者たちの確執についてなんだけども、これが弱かった。

というか確執がない。

生き残った島民は、拳銃を撃つのが夢だという警官(窪塚洋介)、女たらしのやぶ医者(風間俊介)、レゲエ好きの漁師(般若)のボンクラ同級生3人組。このうち漁師は、途中までずっとゾンビパニックをどっきりと勘違いしている。

設定からしてコントなのである。

そこへ家出してきた武史の娘日向(山本舞香)とその友達セイラ(水野絵梨奈)が加わるが、日向はすぐにはぐれてしまう。その後で、日向を探しにやってきた宗形や武史らが加わる。

地元のボンクラ島民と元ヤクザ、女子高生といった異色な面々が揃ってるにもかかわらず、案外彼らは簡単に状況を把握して、簡単に結束して、ひたすら向かってくるゾンビを返り討ちにする。

 

 

「葛藤」や「障害」がないのだ。

ゾンビは障害じゃないか?と思うかもしれないけども、ゾンビ映画におけるゾンビって背景というか舞台設定でしかないと僕は思う。

なのでゾンビがどのようにして発生したのか、ということには実は僕はあまり関心はない。ただ「ゾンビがいる世界」というだけの提示で基本的にはすんなり受け入れられる。

「Zアイランド」では、ウイルス性だのケミカル的だの発生の原因をやぶ医者が頼りない映画の知識から引用してそれらしく語るけれども、それが曖昧だろうと別に気にはならない。語らせなければなおのことよかったとは思うけど、まあ、これはちょっと話が逸れたが。

話を戻すと、ゾンビ(のいる世界)は背景でしかないので、ゾンビのいる世界で生存者らがいかにして生き延びるのか、なにを希望とするのか、今後どのように生きていくのか、そこを描いているかどうかがゾンビ映画の名作駄作を分かつ分水嶺なんじゃないか、と。

今まで生きてきた世界とはガラリと価値観が変わるわけだから、必然的に生存者たちの間では葛藤が、ぶつかり合いが生じるはずで、そこがゾンビ映画の面白さになる。

映画ではないけども「ウォーキング・デッド」の面白さってまさにこれだよね(シーズン3までしか観てないけど)。

 

 

実は「Zアイランド」もそういう面白さを持たせるチャンスはあった。

宗形を破門に追いやった敵対ヤクザ反町の存在である。

せっかくゾンビパニック禍の島で2人を顔合わせさせたのだから、因縁ある2人の関係をもっと描くべきだったんじゃないか、と外野からで申し訳ないが思うわけである。

女子高生とチンピラの格闘シーン(パンチラもない!)や陳腐な家族愛を描く余裕があったのなら、対立する宗形と反町との関係をゾンビのいる世界で展開させて、単に島を脱出するだけでなく(それじゃゲームみたいじゃない?)、その後の世界で生き残った者が亡くなった者の意志を継いでどう生きていくか?みたいなとこまで描けたら、かなり面白いゾンビ映画になったんじゃないか、とやや惜しく思うのだ。

 

 

まあ、そこまでシリアスなものを目指したわけではなく、ゾンビとヤクザをハイブリッドしたホラーコメディエンターテイメントを作りたかったのかもしれない。

だとしても「ちょっと待てよ」と言いたくなるところがあって、「ショーン・オブ・ザ・デッド」のようなホラーコメディを目指しているのはわかるのだけども、どうしてもコントにしか見えない。

笑わせようとしているシーンがすべてセリフ頼み。それも本筋から外れて幕間にゾンビコントをしているよう。

とはいえそこは監督自身お笑い出身だけあって間やテンポは気持ちいい。でもやっぱりコント。映画としては動きがなくて面白みに欠ける。

コメディとコントの違い、これは結構考えると奥が深そう。

 

 

つらつら書いてまとめといってもまとめにならないかもしれないけれども、偉そうに総論。

決して芸人出身監督だからといってバカにするような出来の映画ではなく、それなりにエンターテイメント映画ではある。

ゴア描写にも手抜きはないのでゾンビものとしてビジュアル面は見応えはある。

ただ生存者たちに葛藤がなくドラマが薄いのと、ゾンビコントが合間に挟まれるのが残念。