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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「しとやかな獣」を観た!素晴らしかった!

「しとやかな獣」を観ました。

川島雄三監督、新藤兼人脚本のブラックユーモアに塗り固められたシチュエーションもの家族映画。

これが、まあ、素晴らしかったです。

(予告編はいかにも喜劇然とした音楽使われてますが、全然こんな雰囲気じゃないですよ)


「しとやかな獣」予告編 - YouTube

しとやかな獣 [DVD]

しとやかな獣 [DVD]

 

 

 

とある公団に暮らす前田一家(父、母、長男、長女)は、元海軍大佐の父の指揮の元、ゆすりやたかりを生業にしている。

ある日長男の実が勤め先の金を横領していたことが会社に発覚する。ところが実が横領していた金の大半は、会社の会計係である女幸枝の手に渡っていた。

そこへ流行作家の妾である長女が、作家に愛想をつかされて帰ってきて、ひと騒動もち上がる。

 

 

はじめに「シナリオ」誌2015年6月号に掲載された本作のシナリオを読んだのですが、登場人物全員が色と欲にまみれた小悪党で、全編が日本映画では珍しいくらい乾いたブラックなユーモアに彩られているのに興味を持ちました。

 

 

遅れて本作をDVDで鑑賞したのですが、シナリオの面白さはそのまま、いや、それ以上に面白かった!

舞台が前田家の暮らす団地の一室に限られるので、そのまま映画にしたら案外動きの少ない密室劇になってしまうんではないか?というのは全くの杞憂で、逆にその制約を映画的な表現に翻案するために、考えられ得る限りのアイデアを詰め込んでいる。

 

 

常に窓やドアが開けはなされている前田家の一室を、カメラはあらゆる角度から捉える。極端なあおりや俯瞰、玄関のドアの覗き窓をフレームにして人物を切り取る演出も洒落てる!

文字通り真っ赤な夕焼けをバックに狂ったようにダンスする息子と娘(その二人をちらとも見ずに父母がそばをすすってる対比も痺れる)、人生の浮沈を暗示させる長い長い階段を上り下りする人物、照明を巧みに利用した独白シーンなどスタイリッシュな演出がいちいちカッコいい!

能をベースにした音楽や団地の上空を飛んでいるであろう自衛隊の飛行機の爆音などのサウンド面での演出もクール!

ほかにも取り上げたいシーン、ディテールはいくつもあります。

 

 

毒と外連味に溢れ、かつユーモアと品のよさがある。

完璧と言っていい作品です。

 

 

川島雄三作品、もっと観なくてはならないな、と。

とりあえず、図書館で藤本義一川島雄三、サヨナラだけが人生だ」と新藤兼人「作劇術」を借りてきたので、ちょこちょこ読んでみる予定です。 

川島雄三、サヨナラだけが人生だ

川島雄三、サヨナラだけが人生だ

 

 

 

作劇術

作劇術