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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「ヤング・アダルトU.S.A.」読了。アメリカのイノセンスに思いを馳せる

「ヤング・アダルトU.S.A.」読了。

期待以上に面白かったです。

アメリカの学園映画やティーンカルチャーに興味ある人ばかりでなく、もっと多くの人に響く内容だと思う。

 

ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)

ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)

 

 

 

前作「ハイスクールU.S.A.」から引き継ぐ形で、青春映画というジャンルの最重要人物ジョン・ヒューズへの敬意に始まり、00年代、10年代のアメリカのティーンを取り巻くポップカルチャーを総ざらい。

glee/グリー」、リアリティショー、SNS、YA小説、ポップス、ディズニーやニコロオデオンのトゥイーン向け番組、プレッピー、ブロマンス(ロマンシス)、マンブルコア、アパトーギャングなど。

まさに博覧強記。とんでもない情報量なのですが、長谷川町蔵山崎まどかのお二人の会話形式で綴られていて、読んでいるこちらは、まるで人生の先輩方の集まる席で、未熟者でありながら末席にちょこんと座ってためになる話を聞かせてもらう、といった体で「フフフ」と忍び笑いをもらしながら楽しめる作り。

所々挟まれる人物やトピックにフォーカスしたコラムも勉強になる。

 

 

ここで終われば、単にその方面のマニア向けにしか訴えないのかもしれないのですが、最終章で引き伸ばされている思春期(アメリカばかりの話ではない)に話題が及び、アメリカ人は大きな事件が起きたとき、

その出来事を経て「大人になった」とは言わない。いつも「イノセンスが失われた」と表現する(長谷川町蔵

 この発言を受けて、

アメリカという国のアイデンティティは少年の姿をしている(山崎まどか) 

 との部分で、なんだか感動すら覚えてしまう。

イノセンスが尊ばれる国、アメリカ。

ジョン・ヒューズから始まって、アメリカ文化の本質にまで至る。これってなんか凄いな、と。

 

 

本書には触れられていなかったけど、アメリカのイノセンスということでいうと、最近ではジェフ・ニコルズ監督の「MUD」がありました。

この作品は完全にマーク・トウェインの世界へ直結する作品だったわけで、そんなことからイノセンスというキーワードで、ジョン・ヒューズマーク・トウェインを重ね合わせるような想像まで引き出す非常に広がりのある良書だと思います。