読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「遠足 Der Ausflug」を観ました〜アウトサイダー・アーティストの日常

「遠足 Der Ausflug」というドキュメンタリー映画を観ました。

遠足 ~Der Ausflug~ [DVD]

遠足 ~Der Ausflug~ [DVD]



これはウィーン郊外にあるグギング 芸術家の家という施設で共同生活を送るアーティストたちを追った作品です。
ここに暮らすアーティストたちは精神障害者ですが、芸術的な才能を見出されて、ここで絵を描きながら暮らしています。
つまり彼らは世で言うアウトサイダー・アーティストなのです。


先日のブログでオズヴァルド・チルトナーについてエントリーした時、グギングのことを調べていたら、このドキュメンタリー作品があるのを知り、さっそく借りてみた。
前述のチルトナーの他、アウグスト・ヴァッラ、ヨハン・フィッシャー、ヨハン・コーレックなどが出てきます。


作品やアーティストにフォーカスするのではなく、グギングでの彼らの日常生活に主眼が置かれていて、過度に彼らに干渉することなく、全体的にほんわかとした雰囲気。
すでに齢60を越したおじいちゃんばかりが、ブツブツと独り言を言ったり、色鉛筆でカリカリ絵を描いたり、食事の準備をしたり、展覧会を観に出かけたり、そんな様子が映し出される。


よく言えば、アウトサイダー・アーティストと呼ばれる彼らに対して妙な偏見を持ち込まず、優しく見守ってるような作品と言えるけども、ドキュメンタリーとしては、もひとつ弱い感じがします。


極力説明的なナレーションを省いていて、フレデリック・ワイズマンのような作風を想起させるとこもある。
(ギャラリーでキュレーター(?)らしき男がグギングのアーティストの作品を褒めるシーンとか、コーレックがガールフレンドの家を訪ねるシーンとか)
でもワイズマンを引き合いに出してしまうと、やっぱり弱いというかぬるいというか、そういう感じは否めないな、と。
もっとグギングの裏方の人たちにも迫ってほしかった、とか無い物ねだり。


逆に本作を観て、いかにワイズマンの作品が、「観察するということはそもそも苛烈な、残酷な行為である」ということを訴えてるのかに気付きました。


まあ、でも、アウトサイダー・アートに興味があるという人や、隠棲したおじいちゃんが好きな人が観たら面白い部分はあると思います。
ぼくは、チルトナーが自身の作品そのままのかわいらしいおじいちゃんだったのにジンときましたね。
くじ引きを引いてははずれる、何かというと「alles gute」(グッドラックくらいの意味でしょうか)と独りごちているのが特に印象的。