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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「サンセット大通り」を観ました!傑作!(エントリは支離滅裂…)

映画

ビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」ようやく観ました。

この秋はビリー・ワイルダー作品をなるべく観るようにしているのですが、まあ、観る作品どれも面白いですね。

といってもまだ「アパートの鍵貸します」「あなただけ今晩は」「七年目の浮気」と今回取り上げる「サンセット大通り」しか観ていません。

さらに付け加えれば、「七年目の浮気」は正直ぼくにはピンときませんでした。

 

 

さて、「サンセット大通り」ですが、1950年製作のビリー・ワイルダー監督の代表作であると同時に映画史にも名を残すハリウッド内幕ものサスペンス映画の傑作、と言われています。

売れないハリウッドの脚本家ジョーは借金取りに追われて朽ちかけた大豪邸に逃げ込む。誰も住んでいないかと思いきや、かつての無声映画の大女優ノーマ・デズモンドが執事のマックスとともに暮らしていた。

ノーマは過去の栄光に縋りながら、ハリウッド銀幕への再起を虎視眈々と狙っていて、自らが主演する予定のシナリオ「サロメ」の脚色をジョーに依頼する。

金欠のジョーは渋々ながらも仕事を受けるが、それが運の尽き。

やがてノーマのエゴと妄執に絡み取られ、ジョーの運命は狂っていく。

 

 

とにかく脚本が見事!

オープニング、大豪邸のプールに浮かぶ男の死体。背中と胸を一発ずつ撃たれている。果たしてこの男は何故プールに浮いているのか?何故撃たれたのか?という謎でいきなり観客をグイッと作品世界に引き込む。

この謎は最後に明かされます。いわゆる円環構造ですね。

この死んだ男のモノローグで話は過去に遡ることになります。

ちなみにこのモノローグは死んだ男によるものであることは最後に明かされますが、映画を観る目が肥えている今の観客にはすぐにそんなことはわかるはず。

これをネタバレと呼ぶのなら、以下ぼくはあまり意識もせずネタバレすることがあると思います。すみません。

 

 

この死んだ男=売れない脚本家ジョーが、ノーマの大豪邸にたまたま迷い込むのも素晴らしい導入。

水のないプール、荒れたテニスコート、みすぼらしい外観の屋敷、そこにひっそりと住むかつての大女優と忠実な執事。彼女らは飼っていた猿が死んだのでこれから埋葬をするところである。

こんな異様な家の主人であるノーマに仕事を依頼されても、通常なら相手にしないところを、ジョーは借金で困り果てている。背に腹は代えられない。

こうしてノーマの仕事を受け、彼女との生活が始まる。

金を作りたい、脚本の仕事が欲しい売れない脚本家と、再び女優としての輝きを取り戻すために新作の映画を作りたいかつての大女優とが、お互いの課題を解決するために手を結ぶ。

なるほど、このようにしてドラマを起ち上げるのだな、と。

 

 

脇役も因果な味を持ったキャラでドラマを盛り上げる。

ノーマの執事マックスは、ノーマを永遠の大女優に仕立てるべく自らノーマへのファンレターを偽装して彼女へ届けたりしている。世間がノーマを求めているという偽装工作に余念がない。

パラマウントからノーマ宛ての電話が出演のオファーではなく、ノーマ所有の年代物の車を貸してほしいという案件だったということも、マックスは絶対にノーマにばらさない。

ジョーの脚本に才能を見出す映画製作会社の秘書(?)ベティは、ジョーの友人と婚約していながら、ジョーと脚本を共作する過程で彼を好きになってしまう。

ジョーとベティとの関係は、ノーマの知るところとなり、単に仕事上の付き合いを超えてジョーを愛し始めていたノーマは、ベティに嫉妬の炎を燃やす。

マックスとベティは、ノーマのエゴと妄執をより一層深める役割を果たしている。

なるほど、こうしてドラマを転がしていくのだな、と。

 

 

ラスト、ノーマの愛や夢に自らを偽って付き合っているのにうんざりしたジョーが、ノーマやベティにすべてを打ち明けて、二人の元(≒ハリウッド)から去ろうとするその後ろ姿にノーマは発砲する。

なぜ彼女はジョーを撃ったのか?このことはもう少し考えてみたい。

決して彼女の愛を裏切ったから、という単純なものではない。

そもそも彼女はジョーを愛していたのだろうか?そこも疑問。

ノーマはただただスポットライトを浴びる存在でいたかっただけ。

セシル・B・デミルをスタジオに訪ねたノーマが、照明を受けてスタッフやキャストに囲まれるんだけども、照明が消えると途端に皆が離れていくシーンのなんと胸の詰まること!)

 

 

かつての大女優が自宅の大豪邸で殺人事件を起こしたというので警察だけでなく大勢のメディアが駆けつける。

しかし彼女はもはや精神に変調を来していて、自らが主演の映画がいよいよ撮影されるのだと勘違いする。

執事マックスが監督を演じ、「アクション」と声を発すると、ノーマは自宅の階段を大女優のオーラをこれ見よがしに発しながらしずしずと降りてくる。

ああ、美しい階段!

そして、恐ろしいノーマの形相!

彼女はついに映画(=虚構)を自ら住む大邸宅に取りこんだのだ!

 

 

ある意味、ノーマは勝ったのかもしれない。

虚構で現実をひっくり返して。

 

 

何を書きたいのか、特に落としどころも決めずに書くとこうなるわけです。

とにかく傑作です。

ビリー・ワイルダーの描く人間は皆グロテスクなところが素晴らしい。

それなのに非常に上品でソフィスティケイトされている。

「七年目の浮気」はちょっと小市民すぎるところがいまいち乗れないのです。

 

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