船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

「バクマン。」観ました~ピュア急行、下心発、淡き夢経由、現実行き。でも…

バクマン。」観てきました。

先日「岸辺の旅」を観に行った時に、うちの子と奥さんは「バクマン。」を観ていたのですが、感想を訊くと口を揃えて「面白かった」と。

「岸辺の旅」が正直いまひとつだったので、ああ、「バクマン。」にしとけばよかったかな、と思ってしまったり。

とはいえ、もともと大根仁監督の「モテキ」も「恋の渦」も好きですから「バクマン。」も期待はしていて、観に行きたいとは思っていたので、有休利用して行ってきた次第。


「バクマン。」予告 - YouTube

 

www.bakuman-movie.com

 

 

高校生の真城最高=サイコ―(佐藤健)と高木秋人=シュージン(神木隆之介)は、作画と原作のコンビ漫画家として週刊少年ジャンプでの連載を目指す。

2人は努力の末連載を勝ち取るも、アンケート至上主義のジャンプでは人気が落ちれば即打ち切り。競走の激しい中、ライバルである同じ高校生の天才漫画家新妻エイジよりも早く人気アンケートで一位を獲るのを目標に日々マンガ制作に精進するが、徹夜続きで体調を崩したサイコ―は倒れてしまう…

という話。

 

 

以下、感想を思いつくまま書きますが、当然のようにネタバレもありますので先にお断りしておきます。

 

 

率直な感想は、「楽しかった」です。

原作未読なのですが、全く問題なく楽しめましたね。

原作は全20巻ということですが、映画では5~6巻くらいまでの内容をメインにしているということ。

サイコ―とシュージンがジャンプでの連載をつかみ、病魔を乗り越えて人気アンケートで1位を獲る。しかしそこが2人の絶頂で、そのあとはずるずると順位が下がり結局打ち切りになってしまう。「でも、まだこれからだよな」という感じで映画は終わります。

 

 

なんだかこの終わり方ってどこかで観たことありますよね。

北野武監督「キッズ・リターン」まんまなんですよ。

「俺たち終わっちゃったのかな」「まだ始まっちゃいねえよ」というあの有名なラストが即座に思い浮かぶ。

実際製作者も「キッズ・リターン」のような青春映画を目指していたことがパンフレットに書かれていました。

大根仁監督も、「キッズ・リターン」を下敷きにすることで、この作品を映画に翻案する足掛かりを得たようです。

北野武映画も名作として参照されるほどになったんだなあ、という感慨が)

 

 

でも決して単なる「キッズ・リターン」フォロワー青春映画ではなくて、ちゃんと大根仁監督の味つけが隅々まで行き届いている作品に仕上がっています。

サイコ―とシュージンが漫画家を目指してから手塚賞で準入選を獲るまでのタタタターンといったテンポよい流れ。

それを後押しする軽快な音楽。

無駄のないストーリー運びと音楽の(使い方の)センスのよさは「モテキ」にも見られます。

マンガを描くという映画的には地味な動作を、ペンを剣に見立ててのアクションシーンに置き換えたり、サイコ―とシュージンが描くマンガをプロジェクトマッピングで部屋中に映し出すといったアイデアは、目を楽しませてくれる。

これらの目指すところは、つまるところ観客をいかに乗せるかということだと思う。

 

 

ジャンプコミックスの単行本の背をエンドロールに用いる遊び心も楽しい。

こうした遊び心が決してひとりよがりにならないところが大根仁監督のエンターテイメント監督としてのバランスのよさなんじゃないかな、と。

 

 

ただ、個人的に気になったのは、ジャンプのスローガン(?)としてたびたび出てくる「友情、努力、勝利」に照らしていうなら、もう少しサイコ―とシュージンの友情が描かれてもよかったんじゃないか、と。

逆に、サイコ―が憧れる同級生の亜豆との淡い恋愛はそれほど必要なかったんじゃないか。

ぼくは亜豆がサイコ―を病院に見舞いに来るシーンは、「こんなに長々といる?」と思いました。

原作はどうだか知らないのですが、映画に限って言えば、亜豆はサイコ―をマンガの道へ誘うきっかけとしてだけ存在すればよかったと思うわけです。

見舞いに訪れたころは、もうサイコ―にしてみれば亜豆と結婚するとか、自分の描いたマンガのアニメで声優をしてもらうとか、マンガを描く動機ではなかったと思う。

なんかあのシーンがやけに浮いて見えてしまった。

 

 

とはいえ、全体的にはほんと楽しかったです。

亜豆との結婚を夢見て最初は下心からマンガを描き始めたけれども、強力なライバルの出現、人気漫画家だったおじさんへの思いなどから次第に本気になっていき、一度は夢を成し遂げるが、現実の厳しさを知る。 

ピュア急行、下心発、淡き夢経由、現実行き(「モテキ」もそんな感じだったように思う)。

でも、まだ終わっちゃいない、いや始まってもいない。

これは青春映画の鉄板ですね。

 

 

最後に、これ、ほんと凄いなと思うのは、原作読んでないけども「バクマン。」の映画観たら、これで十分満足なんですよ。

なんというんでしょう、「進撃の巨人」はやっぱり原作知らないで映画観たんですけど、映画観た後原作読んでみたいな、と思ったのです(実際奥さんが借りてきたのを少し読みました)。

映画だけでは物足りないというか、よくわからないという気持ちがあったんだと思います。

でも「バクマン。」は映画だけでしっかり完結してるので、原作読んで補おうという気持ちが全く起こらない。

これは集英社にしたらマイナスなのかもしれませんが。

で、よく考えたら「モテキ」も原作マンガですよね。「モテキ」も映画だけ観て満足していた。いまだにマンガは読んでません。ドラマも観てない。でも問題ない。

今マンガ原作を映画としてきっちり作れる監督って大根仁が一番なんじゃないのかな、と思ったりしました。

 

 

以上です。