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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

続・ビリー・ワイルダー作品を勉強中です〜「情婦」「昼下りの情事」

映画
連休中にビリー・ワイルダー監督「情婦」と「昼下りの情事」を観ました。

傑作!「情婦」

「情婦」がとにかく傑作でした。
ラストのどんでん返しが大きな見所のひとつになっているので、ネタバレになりそうなことを控えるとあまりいろいろ書けませんが、是非観てもらいたい一本。
こないだ観たM・ナイト・シャマラン監督「ヴィジット」のオチが子供騙しに思えます。
「ヴィジット」は単に観客を欺く仕掛けとしてのどんでん返しでしかないけれども、「情婦」のそれには人間の性(さが)が表出されていて、なんともいえない哀しさ、滑稽さがあります。


「情婦」はいわゆる法廷劇です。
やもめの有閑マダム殺しの疑いをかけられた男が、無罪を勝ち取るために、病気療養中だが有能な弁護士に弁護を頼みます。
しかし男の妻は、検察側の証人として出廷し、男に不利な証言をします。
果たして男は有閑マダムを殺したのか?殺していないのか?妻の真意はなんなのか?
といったサスペンスで惹きつけます。


男を演じるのはタイロン・パワー、その恋人を演じるのはマレーネ・ディートリッヒ
2人の演技について触れるとネタバレになりそうなので割愛せざるをえません。
ひとつだけ、M・ディートリッヒのニヒルさが魅力です。


緊張感ある法廷劇のようですが、病気療養中の弁護士とお節介な看護士とのコミカルなやりとりが合間にあって、これがまた作品全体にほどよい膨らみを与えてます。
チャールズ・ロートン演じる巨漢の弁護士が看護士に隠れて葉巻を吸ったり、ココアと偽って水筒に酒を入れて飲んだり、このあたりはビリー・ワイルダーの洒落たコメディセンスが遺憾なく発揮されてます。
階段に取り付けられた電動椅子に乗って上がったり下がったりするシーンもなんかおかしい。
サスペンスとコメディ、このバランス感覚が絶妙です。


前にも書いたかと思いますが、ビリー・ワイルダーは人間の醜い面、哀しく滑稽な面を描きながら、下世話にならず、エンターテイメントにまとめ上げる手腕が卓越しています。


O・ヘプバーンがかわいらしい「昼下りの情事」

もう一本、「昼下りの情事」ですが、こちらはいまいちだったかな。
といっても他のビリー・ワイルダー作品に比べると、という意味でですが。
この作品、「情婦」と同じ1957年に製作されてるんですね。
ビリー・ワイルダーとO・ヘプバーンのコンビではこの前に「麗しのサブリナ」があります。
麗しのサブリナ」もぼくはそれほどよいとは思わなかったです。


「昼下りの情事」は、探偵の娘が上流階級のジゴロに惚れて、逆に彼を振り回すロマコメ、ラブコメ
身分違いの恋愛でハッピーエンド(のように見える)ということでは「麗しのサブリナ」と同じですね。
どちらもO・ヘプバーンはかわいらしいんです。華奢で。失礼な言い方かもしれないけれど、愛玩動物的なかわいらしさがあります。動作のいちいちが絵になる。
でもコメディエンヌとしては、シャーリー・マクレーンの方がずっと上だし、マリリン・モンローにも及ばないかな、という気がします。ビリー・ワイルダー作品においてですけど。


脚本はI・A・L・ダイヤモンドとビリー・ワイルダーの共作となっています。
このコンビは「アパートの鍵貸します」「お熱いのがお好き」「あなただけ今晩は」などいずれも素晴らしいコメディを作っています。


O・ヘプバーン演じるアリアーネが、探偵業を営む父親の書斎から過去に調査した浮気事件の記録を盗み見ては、そのケースを自身の男遍歴として偽るなんて設定、ちょっと出来過ぎなきらいもありますが、O・ヘプバーンのキュートさがちゃんと消化してくれています。
O・ヘプバーンがあの華奢な身体で、えっちらおっちらビオラ(?)のケースをかついで歩くのも、ちゃんと彼女の魅力を把握してるからこその演出なんだろうな。
そう思うとO・ヘプバーンのキャスティングを生かした脚本に仕上がってて、彼女の魅力もちゃんと出ているのだから作品としては悪くないんですけどね。


カルテットバンドがずっと演奏しながらゲイリー・クーパーの後をついてくるギャグが、しつこくて好きです。

ビリー・ワイルダー作品の勉強期間もそろそろ終盤。
あとは「深夜の告白」「第十七捕虜収容所」を観る予定です。
「ワン、ツー、スリー/ラブハント作戦」も気になるんですけどね