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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

ロバート・アルトマンの1990年代初めの代表作3本

ロバート・アルトマンといえば、アンチ・ハリウッドの巨匠、群像ドラマの名匠、ポール・トーマス・アンダーソンの師匠(?)で有名ですが、ぼくはなんとなく今まで観てきませんでした。

いまさらながら勉強を兼ねて少しずつ観ています。

ちょうどよいタイミングでアルトマンのドキュメンタリーが公開されていたというのに、こちらは結局観に行けませんでしたが。


 

 1990年代アルトマン復活を印象付けた作品

最近観たのは、1990年代にアルトマン復活を印象付けた「ザ・プレイヤー」「プレタポルテ」の2本。

同時期に撮られた「ショート・カッツ」も今年の初めに観ている。

どれもキャスティングが豪華です。

「ザ・プレイヤー」は映画業界を舞台にしているので、カメオ出演まで含めると特に豪華。

ファッション業界好きには「プレタポルテ」に超一流デザイナーがこぞって協力、カメオ出演しているのを楽しめるはずです。

ただ、いずれも90年代初めの映画ですから、「懐かしい」という感じかもしれません。



アルトマン作品はビッグネームの俳優をキャスティングしながら、あまり彼ら彼女らを大事に扱わないというか、それほど見せ場を作ってあげないところが意地悪でいいですね。



「ザ・プレイヤー」(1992)

「ザ・プレイヤー」は、冒頭のクレーン撮影を駆使した長尺のワンシーンワンカットでいきなり度肝を抜きます。

これだけでこの作品のおいしいところのほとんどがあるようにすら思う。



ハリウッドの敏腕プロデューサーが、自分を脅迫していると勘違いした売れない脚本家を誤って殺してしまい、徐々に追い詰められていく、という話。

一応ちゃんとしたサスペンス映画の筋書きになっているんですが、これがミソで、ネタバレしてしまいますと、結局プロデューサーは罪に問われず、脅迫していた真の犯人もわからず、取って付けたようなハッピーエンディングという、露骨にハリウッド映画を小馬鹿にしています。

嫌な奴が、最後まで嫌な奴のまま、なぜかハッピーエンドというね、それが愉快です。

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プレタポルテ」(1994)

プレタポルテ」は、舞台をファッション業界に移しただけで、まあ、「ザ・プレイヤー」と似ています。

いかにも意味深にスパイ映画みたいなノリで、モスクワから話は始まります。

パリのプレタポルテ協会会長と謎の男がパリで密会するが、会長はサンドウィッチを喉に詰まらせて窒息死してしまう。

その場から逃げ出す謎の男、果たして会長の死には何か陰謀があるのか、と疑惑がもたげる中、華やかなパリコレがスタートする。

と書くと、なにやら面白そうなんですけど、会長はただサンドウィッチを詰まらせて死んだだけでそれ以上なにもなし。

あの密会は何だったのか?

まったく馬鹿にしている。さすがアルトマン。

ファッション業界って、なんか堅物そうという偏見があるのですが、よくまあこれだけ協力してくれたな、と思います。

モデル、デザイナー、バイヤー、レポーターとパリコレに関わる様々な人物模様の裏表がいかにもそれらしく描かれているし、パリコレの会場の雰囲気は充分伝わってきます。

でも、それぞれのエピソードはどれも他愛なく、これといって面白いとは思わなかったですね。

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「ショート・カッツ」(1993)

90年代初めの作品ということで言えば、「ショート・カッツ」が一番好きです。

レイモンド・カーヴァーの短編を寄せ集めた群像劇。

好きなどと言いながら、もう半年以上も前に観た作品だと、結構忘れちゃいます。

ほんとにどんどん忘れる。

鑑賞メーターに書いていた感想が以下です。

長い…が、退屈ではない。いや、面白い。殺虫剤を撒き散らしながら夜のLAを飛ぶ飛行機。不穏なオープニング。同じ空の下、マス釣りを楽しむ無職、アル中の運転手、エロ電話のサクラを務める二児の母、浮気性の警官など様々な人々が交錯する。大きなドラマに発展することはないが、いくつかの死が彼らの日常に暗い影を落とす。しかしそれもまた日常に吸収されていく。空に始まり大地に終わる。その間で、すぐに忘れてしまう人間もいれば、いつまでも忘れられない人間もいる。じんわり沁みる。
また観たいですね。
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