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船橋リズムセンター

「野に在って野に下らず、俗に在って俗に流されず」。こだわりなし、怒りなし、浅く、ぶれつつ、無着陸、、、

夜明けのたぬきそばと白い夜からの生還

久し振りに始発出るまで仕事してしまった。
まあ、自分で「今日は朝までだな」と決めて臨んだ残業だったので、それほど不快ではないですけども。
むしろぼくは、ひとり、しんとしたオフィスで仕事するのは好きな方です。
休日出勤も嫌いでない。
働くのが好きというより、人が休んでる時に働いてるという倒錯に酔うところがあります。



とはいえ、徹夜の仕事はさすがに身体に堪えます。
オールナイト上映会だって、もう今では完走できないですからね。
0時くらいにレッドブルを補給したせいか、眠気は不思議となかったのですが、深夜2時、3時を回ったあたりから、なんか身体から変な汁が滲み出てくるような感じがしてきます。
もしかしたら成長ホルモンがしびれを切らして分泌されてきたのかもしれません。
身体からの休息指令とは裏腹に、気持ちはまだ仕事中。
この引き裂かれる感じ。妙な昂揚感があったりします。
昂揚感はあっても、疲れはしっかり身体に刻まれますけども。


夜明けになにか自分へのご褒美でおいしいものでも食べたい、とは思ったものの、6時に街へ出たところで、立ち食いそば屋と牛丼屋くらいしか通勤経路にはありません。
富士そばで夜明けのたぬきそば。
あげ玉が丼の表面6〜7割を占める。
クラゲが大量発生した海のよう。
アカルイミライ」のクラゲテロを思い出します。
七味をざんざんかけましたが、当然あげ玉クラゲは死滅することはありません。
すすってもすすっても逃げていく。
そばはコシもなにもあったもんじゃなく、箸で持ち上げた途端にぶつりと切れてしまいそう。
そんなやわな麺が、幼児退行を誘う。
なんだか眠りの導入にちょうどよいそばに思えてくる。


富士そばを出ると、すでに通勤通学の人々が足早に行き交っています。
ぼくは人の流れとは逆行して家路へ。
激しい雨。
そろそろ日が昇ってきてもよい頃なのに、空は薄曇り。
ぼんやり靄でもかかってるのかな。
朝なのかまだ夜なのかよくわからなくなってきます。
人の流れに逆行して歩いていると、死者の心持ちがします。
ぼくが生きているなら、彼らの方が死者かもしれない。
白い夜にゾンビが跋扈してる世界をふらふら歩いてる気分です。
幸い誰に襲われることもありませんでした。
それならぼくもやっぱり死者かもしれない。


白い夜から生還し、家の玄関を開けると、奥さんはもう起きていました。子どももちょうど起きてきたところ。
ただいま、おはよう、いってらっしゃい、おやすみ。
どれがどれに対応してるのかわからない挨拶を交わし、ぼくは布団に入りました。
コシのないそばのようにクタッと。